ピクトリアリズムのレンズ Som Berthiot 75/3.5 Nexカメラ
Royflex ロワフレックス 6x6 中判2眼レフに搭載されていた、Som Berthiot Paris Fror 75mm f3.5のレンズです。
アンジェニューやキノプティック、ソンベルチオ、エルマジーなど、フランス製の個性的なレンズが多い中、SOM BERTHIOTは、P.Angenieuxと並んで、高画質映画撮影用レンズのメーカーとして特に有名です。
今回は、代表的なシネレンズレンズではなく、中判カメラレンズです。
ゆとりのイメージサークルは、35mmフルサイズには勿体ないぐらいの広さではありますが、75mmの焦点距離は、ポートレート撮影には最高の焦点距離です。
カメラのプレートが2眼レフ特有の眼鏡プレートなので、レンズ形状が円形ではありませんが、写りは中判レンズそのものです。
レンズが柔らかいので、経年劣化による前玉に軽いスレがありますが、当たり凹みは無く、撮影には問題は無いと思います。
カメラから分解してレンズをNexマウントにしてあります。レンズのオリジナルヘリコイドとアダプターのヘリコイドと、ダブルヘリコイドなので、50cm位から無限大まで撮影出来ます。
目の前の光景を正確に写し取るのではなく、光の質や変化、人間の目に近いぼやけ方を描く…… それはまさに19世紀後半にフランスで勃興した印象派の絵画と相通ずるものがあるような気がします。
モネやアルフレッド・シスレーの絵のように、フランス製レンズとフィルムで撮った写真は、それらを彷彿とさせると思います。
1800年代末期に一世を風靡したピクトリアリズム(絵画主義)の、写真と絵画とを完全に分離させ、写真の芸術性や社会的地位を高め、精神性の高い写真独自の芸術表現を目指した、写真の潮流もあるのかも知れません。
ご検討の程、よろしくお願いいたします。
ピクトリアリズムのレンズ Som Berthiot 75/3.5 Nexカメラ