✳︎商品名：栃木県太平山神社太平火防(ひぶせ)獅子②
✳︎製造　昭和期
✳︎工人：鈴木賢ニ
✳︎サイズ：全長12㌢（本体のみ）
✳︎状態：経年の薄汚れはありますが箱に入ったまま保管されていたので火防札の赤色の退色もない美品です。

栃木県栃木市に古来からある、大平山神社太平神社の神様をお護りしている狛犬がモチーフとなった郷土玩具です。

その狛犬「火防の獅子」は「ひぶせのしし」又は　「かぼうじし」と読みます。
作られた年も作者もはっきりしませんが、その古さから九百年ぐらい前の時の領主皆川山城守広照が、北条氏政と争い、氏政の弟氏直が攻めて来て、天正十二年（1584）ここ太平山上で激戦した時、本殿その他の建物が戦火のため焼けてしまいました。激しい戦火の中をどうやって火を免れたのか？木で作られた獅子だけが焼け残ったのです。

その獅子には、戦国時代以前の日付が書かれており、実際に、太平山内の多くの建物が焼亡した中、御神体だけは戦火を逃れたのです。

地元の人々はそれを奉り「火防の獅子」と云って尊び、火事の多かった江戸時代には、太平山の火防信仰が栃木の商家などに多く広がり、やがて『火防』の信仰につながり郷土玩具「火防の獅子」はこの民話をモチーフにして作られました。
材料は、かつて栃木市の一大産業となっていた、下駄産業の加工工程の中で発生する破材を活用したものです。

◉鈴木賢ニ（1906年〜1987年）
栃木市出身の彫塑家。栃木市平井町に生まれ、1925年東京美術学校彫塑科（現、東京芸術大学）に入学。

高村光雲に学びますが、在学中に軍事教練反対のビラを学内で撒き、退学処分となってしまいます。

一時帰郷し、民芸運動を興し、この「火防の獅子」や「うづまのなまず」などの郷土玩具を考案しました。

現在は残念ながら継承者がいなかったため廃絶した郷土玩具です。

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